うつ助手の日記

40代後半でうつになった男の闘病ブログ

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鬱(うつ)は怠惰でも思い込みでも嘘でもありません。

目次

  • 正直、僕はタフだと思っていました。
  • 「鬱(うつ)になるスイッチ」は押した(押された)実感がありません

 

 

正直、僕はタフだと思っていました。

 

結論から言いますと、鬱(うつ)は怠惰でも思い込みでも嘘でもありません。

れっきとした病気です。

でも正直、僕は自分がタフだと思っていたので、周囲に居た「うつ病」の人は心の中では怠惰や思い込み、あるいは嘘なのでは?と思っていたのです。

そんな自分のうつ病までの状況をすこしだけ書かせて下さい。

 

僕は20代の頃に家業が倒産し、当時は役員を務めていた事もあり裁判沙汰となってしまい長い間、裁判で戦う事になってしましました。

自分で会社を興して仕事をするも結局、家業の問題が足を引っ張り、結局、路頭に迷う事になったのです。

そんな時、ある会社でお仕事をさせて頂けることとなりました。

倒産するまではいいとこのお坊ちゃんでしたが、そこでは全く関係のない事。

それこそ下積みからのスタートとなりました。

当時は今のようなコンプライアンスなどが問題視されるような時代ではありませんので、それこそ朝5時には起きて出社、帰りは夜中の12時~1時。休みは月に2~3日というなかなかの労働環境でした。

それでも、家業のお坊ちゃん以外のキャリアの無い僕は他に仕事を選べる訳もなく、仕事に没頭するしか道がありませんでした。

 

でも継続は力なり、という格言もありますが、お坊ちゃんだった僕もこんな環境で10年近くも仕事を続けていると、やれる範囲や任される範囲も広くなり、次第に権限も大きくなっていきました。

管理職になってみると自分の仕事だけが仕事ではありません。

会社も次第に大きくなってきたので、スタッフの管理や人間関係にも気を配らなければなりません。そんな中、スタッフの中には鬱(うつ)を発症した人も現れだしました。

 

理由は様々。

今でいう「パワハラ」であったり「人間関係」だったりという事でした。確かに彼らの言い分を聞けば彼らの上司はヒドイ事を言う人でした。

しかし、自分のキャリアと比べてしまうと、

 

「こんな天国みたいな状況で、たかがそれだけのことでうつ?」

 

と、自分はもっと酷い中を頑張ってきたんだから誰だってできるはずなんだ、「うつ」というのは嘘で本当は仕事をさぼりたいとか辞めたいけれども会社から何か貰いたくて言っているんだ、と思っていました。

 

今(2020年)現在で40代後半のビジネスマンの方って、根性論で育ったのに、コンプライアンスを遂行する旗振り役という矛盾したキャリアになっている人が結構多いと思います。

まさに僕もその一人。

こういう状況になればなるほど、根性論で育った自分が意見を言いたくなってしまうのです。

いわゆる強者の理論で、うつ病がどんなものであるのか、そのポイントを学ぼうなどという気持ちは当時1㎜もありませんでした。

要は「自分はタフ」、僕は自分の中ではそう思い、彼らのようなうつになったスタッフの事後処理をしつつも弱い人にはなりたくないものだと思っていたのです。

 

今、思うとどれほど愚かであったのかと恥ずかしい気持ちです。

 

 

「鬱(うつ)になるスイッチ」は押した(押された)実感がない

 

あまり詳しくは書けませんが、最終的に僕はその会社で役員になりました。

多くの権限を持つようになり、かなりの発言力を持つようになりました。当然、収入も上がり、いわゆる富裕層と呼ばれる層に入りました。

今まで聞いた事もなかった色々な投資案件が来るようになり、経営者の仲間もたくさんできました。

もっと大きくなろう、もっと強大になろうと心の中で思っていたものの、始めは小さかった問題の種が年を追うごとに大きくなってきていました。

 

その問題が表面化した時、それがまさか自分の責任となるとは思いもよりませんでした。

この会社にはそんなものなど無いと思っていたのに、巧妙に張り巡らされた陰謀が存在していて、結果的に「問題」を解決するのは当事者ではなく全面的に僕が担当するハメになりました。

 

なんとか解決しなければならない。こんなレベルの事は今までだってやってきたじゃないか、という思いが心を奮い立たせました。

しかし、困った事に当事者が陰謀の主だったのです。

自分の専門外の仕事でしたが、何をしても失敗するようになっており、日付だけが淡々と過ぎていったのです。

 

職場では割と穏やかに話す僕でしたが、次第に声を荒げるようになっていき、会社に居ても家に居ても心の中で「うちに帰りたい」「うちに帰りたい」とつぶやくようになってしまいました。

それでもなんとかしよう、きっと解決できる、と思い続けていました。

少々割愛しますが、最終的な段階で職場の階段の踊り場で涙が突然止まらなくなりました。

そこから先、どうやって仕事を片付けてどうやって家に帰ったのかも分からなくなりました。

そして、翌日から頭でどんなに命令しても身体は全く動かなくなりました。

一日中ストーブの前に座り、気づけば夕方になっていました。

 

うつ病になるのに何かきっかけになるような事があるのか?

 

と聞かれたならば、あるとも無いとも言えます。

しかし、はっきりしているのは、うつ病になる条件さえ整ってしまうときっかけは何でも起こりえると思うのです。

それこそ、その状態になってさえいれば風が吹いてもうつ病が発症するかも知れません。

 

自分はタフだ…うつ病なんて嘘か怠惰の証拠だ。

 

そんな幻想は自分がうつになるという結果をもって割とあっさりと崩れさったのでした。